【セラミド】とは?詳しく解説! みずみずしい潤い肌の決め手と成分

 

セラミドとは、表皮の角質層の細胞間脂質に存在する「保湿因子」の一種で、

皮膚の水分保持力やバリア機能を担う成分のことです。

1.セラミドの発見歴史  History of Ceramide Discovery

セラミドは、1846年にフランスの化学者ミシェル・エウジェーヌ・シュヴェーヌによって初めて発見されました。シュヴェーヌは、細胞膜中に存在する物質として、酸化リグニンを発見し、後にそれがセラミドの一種であることが判明しました。その後、セラミドは1932年に化学者T. H. Morganによって再発見され、1957年には、植物の脂質から単離されることが明らかになりました。しかし、セラミドが皮膚に存在することが知られるようになったのは、比較的最近のことです。

1990年代に入り、日本の化粧品メーカーがセラミドを配合した化粧品を発売し、注目を集めました。その後、セラミドの役割が解明され、医療分野でも注目を集めるようになりました。現在では、セラミドは、皮膚の保湿や健康維持に重要な役割を果たすことが知られています。

2.セラミドが肌に存在する位置  Location of ceramide in the skin

セラミドは表皮の細胞間脂質層に存在しています。皮膚の表皮は角質層、有棘細胞層(ゆうきょくそう)、顆粒層、基底細胞層の4層から構成されており、セラミドは角質層の細胞間脂質層に豊富に存在しています。

セラミドは、角質細胞間脂質(細胞間脂質)の主要成分の1つであり、角質層全体に存在しています。

細胞間脂質は、細胞膜を形成するリン脂質やスフィンゴ脂質などの脂質成分のうち、細胞同士をつなぎ合わせる役割を持つものを指します。細胞間脂質は、細胞間隙に存在し、細胞同士を接着し、組織や臓器を形成するのに重要な役割を果たしています。特に、角質層においては、細胞間脂質が豊富に含まれており、皮膚の水分や栄養素の蒸発や流出を防ぎ、肌の保水力やバリア機能を維持する重要な役割を担っています。

3.セラミドの形成過程 Ceramide formation process

セラミドは、肌のターンオーバーと呼ばれる細胞の生まれ変わりに伴って生み出されます。角質層で作られたセラミドは、細胞間脂質として細胞膜を形成するために利用されます。

セラミドの形成過程は、まず、スフィンゴシンベースと呼ばれる成分が細胞膜に存在する細胞質側膜上に存在している酵素によって、セラミド前駆体であるフィトスフィンゴシンに変換されます。次に、マトリックスと呼ばれる細胞質側膜上に存在する酵素によって、フィトスフィンゴシンからセラミドが合成されます。そして、セラミドは細胞膜を形成する際に、細胞膜に存在するコレステロールや脂質と結合して、細胞膜を構成する細胞間脂質の一部となります。

4.セラミドの種類 Types of ceramide

セラミドは、炭素鎖長やアミド基の有無、スフィンゴシン酸の種類などによって、様々な種類が存在します。一般的には、以下のような種類があります。

スフィンゴシン-1-リン酸セラミド (Ceramide NS)

スフィンゴシン-1-リン酸エチルヘキシルセラミド (Ceramide EOP)

スフィンゴシン-1-リン酸コレステロールセラミド (Ceramide AP)

スフィンゴシン-1-リン酸デシルグルコシドセラミド (Ceramide AS)

スフィンゴシン-1-リン酸ラウロイルセラミド (Ceramide EOS)

スフィンゴシン-1-リン酸パルミトイルセラミド (Ceramide NP)

スフィンゴシン-1-リン酸ステアリルセラミド (Ceramide S)

これらの種類は、それぞれに異なる機能を持ち、肌の状態やニーズに合わせて使い分けることができます。

また、人間の皮膚の角質層には6種類のセラミドが存在してます。これらのセラミドは、化学的に異なる構造を持ち、異なる機能を担っています。

「セラミド1」皮膚バリア機能の維持・回復&水分蒸散を防止する役割

「セラミド2」皮膚の水分保持能力の向上&皮膚の保湿性の向上

「セラミド3」皮膚の保湿性の向上皮膚の健康維持

「セラミド4」皮膚の細胞間の接着力の維持皮膚バリア機能の維持

「セラミド5」皮膚の保湿性の向上皮膚バリア機能の維持

「セラミド6」皮膚の保湿性の向上皮膚の健康維持

これらのセラミドは、相互作用を持ちながら、皮膚バリア機能や保湿性、細胞間の接着力の維持など、様々な重要な役割を果たしています。

特に、「セラミド1」が皮膚バリア機能の維持・回復に大きく関与しており、その不足が肌荒れや乾燥肌の原因となることが知られています。

「セラミド2」は人間の肌の全体のセラミドの約21%に占め、最も多く含まれています。

「セラミド1」「セラミド3」「セラミド6」は、皮膚の健康維持に重要な役割を果たしています。特に、これらのセラミドの減少は、皮膚を敏感にし、乾燥肌、角質化、魚鱗癬、アトピー性皮膚炎などの症状の原因となるとされています。

加齢とともに、「セラミド3」「セラミド6」の量は減少し、それに伴い、肌のバリア機能が低下することが報告されています。

5. セラミドの作用 Action of ceramide

皮膚バリア機能の強化:セラミドは角質層内の細胞間脂質として機能し、皮膚表面に保護的なバリアを形成して外部刺激や紫外線から肌を守る役割を持ちます。

保湿機能の向上:セラミドは皮膚表面の水分蒸発を抑制するため、肌の水分量を調整し、乾燥を防ぐ効果があります。

肌荒れやかゆみの緩和:セラミドの不足は、皮膚の乾燥や刺激に対する感受性を高め、肌荒れやかゆみを引き起こすことがあります。セラミドの補給により、これらの症状を緩和することができます。

皮膚老化の防止:セラミドは紫外線やストレスなどによって損傷を受けた皮膚細胞を修復するため、肌の老化を防止する効果があります。

皮膚の健康維持:セラミドは肌の新陳代謝に必要な栄養素であり、健康的な皮膚を維持するために欠かせない成分の1つです。

抗炎症作用:セラミドは、炎症を引き起こす細胞因子の放出を抑制することにより、アトピー性皮膚炎、やアレルギー反応の緩和に役立ちます。

肌色の改善:セラミドは、紫外線やストレスなどによって傷ついた皮膚を修復し、肌のくすみを改善する効果があります。

皮脂分泌の調整:セラミドは、皮脂の過剰な分泌を抑制することによって、肌トラブルの改善に役立ちます。

抗菌作用:セラミドは、細菌の増殖を防ぐことにより、肌トラブルの原因となる細菌の繁殖を抑制する効果があります。

6. セラミドを補充する方法 How to replenish ceramide

外用剤としては、セラミドを含む化粧品や保湿剤があります。

これらは、肌に直接塗布することでセラミドを角質層に届け、肌の保湿力を高めることができます。また、セラミドと共に、保湿成分やビタミンC誘導体、レチノールなどの成分が配合された化粧品もあり、肌の弾力性や明るさを向上させる効果が期待されています。

内服剤としては、セラミドを含むサプリメントや健康食品があります。これらは、口から摂取することでセラミドを体内に取り込み、皮膚に届けることができます。しかし、内服剤には個人差があるため、効果が出にくい場合もあります。

また、日常の生活習慣にも注意が必要です。過剰な洗顔や長時間の入浴、紫外線などの刺激によって、セラミドが減少することがあります。そのため、積極的な保湿ケアや紫外線対策などを行うことで、セラミドの減少を防ぐことができます。

Genuine Magazine

Read more
×